花の園
地上での二人だけの秘密偵察。
林へ簡易的な拠点を作っていて、ポチョムキンが船から最後の荷物を運んで戻ってきたらチップがいなかった。
周りを見回すと、木が晴れた所に特徴的な白色の髪が陽の光を返していた。
手早い彼は頼んだ荷物の仕分けや設置、全てをこなしてある。
呼び戻す事もないか。と、肩に担いだ荷を下ろすと自身から近付いていく。
地形的には把握していたが、そこはただの開けた平地ではなく、薄桃色の花が一面に広がっていた。
その前にいるチップ。
花に魅入ってでもいるのか、居眠りでも?と、ありえない事を思ったが、緩く揺れる頭の向こうから、もっとありえない
姿を見た。
「・・・・・・何をしている?」
見て分かるのだが、とりあえず確認してみた。
「花輪作ってんだ。」
ポチョムキンに振り返る事もせず、花を一つ千切り取ると、器用に手元でくるりと回し、編み込まれていく。
そんな事をするのは、もっと可憐な乙女がするものだと思っていた。
「・・・・どう・・・するのだ?」
「腕に巻くんだよ。」
少し嬉しそうに、素直に返ってきた声にまた驚く。
大の大人、それなりに長身な青年がする事とは到底思いつかなかった。
「お前のも作ってやろうか?」
覗き込む形でいた自分に、やっと上を向いた顔は満面の笑み。
目を見開いたのが自分でも分かる。
驚愕している。
「・・・いや・・・いい・・・・・・・・」
拒否というよりも、自分の動揺を振り解こうと動かした手に、ガッシリとチップの足が絡まった。
どうなったのか?驚きや混乱、反応できないやら、どうかしたのか?
手首を蟹ばさみされている、そこを起点にチップがクルリと回ってきて腕に乗ってくるは、何か異常を感じたのか?
振り落としてはいけないなど、訳も分からず、慌てた自分の声が途切れ途切れに出たのが聞こえた。
倒れこまれ関節技をかけるかとも思ったが、チップがまるでベッドに寝転ぶような優しい感じで、肩へ、その白い頭を
コトンと当てた。
「お前、指デカいから指輪ってした事ないだろ?」
チップの笑顔を確認した後、流すように見た絡まれた足の間の自分の手の指。
そこに場違いな物があった。
花輪が巻かれていた。
薬指。
に。
何かを話してるチップの声さえ分からず、混乱と『照れ』で目眩さえした。
それでも、腕に感じる重さは確かなチップの重さ。
全くこの子は・・・
呆れ気味に見たのは、耳まで赤くした笑顔。
分かってしたのか?
ただ、そういうことに慣れてないのか?
嬉しいのか?
どのそれであっても。
それらのどれでなくとも。
白い頭を撫ぜた。そして、そのまま寄せて頬擦りした。
「お前といると飽きんな。」
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ご近所の田んぼが蓮華いっぱいだったので。作れる物はなんだって自作。蔦などを使い縄も作るだろう→その編み方教えてくれる前に花で練習させられた。花編みは師匠との良い思い出。つー感じ。折角だからラヴラヴさせてみた。