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ポチョムキンが作る料理はとても美味しい。
今日はケーキまで作ってくれている。
あの体には狭そうなキッチンで、大きな指が器用にお玉を扱い、上がる湯気だけでお腹が鳴りそうになる。



調理からが料理という定義で言えば、チップの手際の良さに私は全く敵わないだろう。
クナイ一本で鳥を解体して骨だけを引き抜き、魚さえも1分程度で無駄なく切り身にする。
それなのに、パスタを茹でレトルトのソースをかけただけの手抜きの料理を、チップは好んで作ってくれとねだる。
ケーキもホットケーキの素を、アルミのカップに流し入れただけのもの。


それなのに、そそがれた野菜ジュースに手も付けず、用意された空の皿を前にチップはお行儀良く座り、
期待の目をしてじっと私を見て、料理が出来るのを待っている。
こんな姿を見てしまうと、知ってしまうと、食材を買う時から嬉しくなってしまう。




大きなボウルに、寸胴で3袋茹でられたパスタの上にかけられた、たっぷりのトマトミートソース。
トングで混ぜだすと、チップは既に皿を持って待っている。
少し意地悪的に、全体をしっかりパスタに合せると、先にその皿に入れてやる。
盛られる毎に口が喜びに形を変えていく。
ポチョムキンの分も整ってから、チップは手を合せた。ならって同じく手を合せる。



「「いただきます。」」




チップと食事を一緒にしだしてから覚えたとても良い習慣。
日本の食事を始める時の言葉は一言であるのに、全てのものへの感謝を表しているという。



「おいしい。」
満面の笑顔と共に称賛の言葉。

「それはよかった。」

その表情と声を聞くために正面にいるといってもいい。





特別でない日々。
それが一番大切な時間。






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近々チップの誕生日だと知り、突発的に書いてみた。寝たいのに起きてしまって2度寝出来ないお布団の中で、お祝いとしてチップが欲しい物や貰って嬉しい物あげようと考えた所、「普通の食卓」になった…今までの全てが不幸だけだとは思ってないけど、「普通」が無かっただけに一番喜ぶんじゃないかと。後、ポチョさんとラヴラヴ、きゅんきゅんさせようと。……そして寝不足へ…。