夜の帳の向
専門書は面倒だ。
分からない単語が出てくる毎に調べ、またそこから分からない単語が出て調べを繰り返す。
もうこの本を二月は読んでいる。
なのに半分さえ辿り着けていない。
こんなものに手を出さなければ良かったのに。
どうも、一度興味が出たら追求してしまう性分らしい。諦められたら楽なのに。
ため息を付きつつ、布団に体を預け、最近手に入れた知識でもう1頁読み進める。
また出て来た専門用語。
面倒臭さの現実逃避で、ふと、アイツにとっても“日本語”は専門用語に近いのではないか?との疑問に、
本日の同室の者を見る。
しかめっ面で辞書を繰り、必死に訳している様は、童話を読んでいるとは到底思えない。
出来る限り自分で訳し、納得した物を俺に採点願う。
その割には、噴出すような凄い訳や勘違いもあり、最近の楽しみの一つ。
土産に書物を与えては、部屋に連れ入れこうやって“お勉強会”をする。
夜の静寂に時間を忘れていたが、相当深夜だ。
アイツをほっといて眠るか?と考えていると聞こえてきた落胆のため息。
「ちっぷ〜」
「ん?」
「こっち来て“イイ事”しない?」
ぽふぽふと自分の横たわる布団を叩いてニッカリと笑ってやる。
「・・・・・」
灯篭の光を返す紅い目が開かれた本をひと睨みする。
と、もう一度ため息。
「・・・お?」
緊張を解くための軽口であったはずなのに。
四つ這いで近付いてくるチップに、闇慈は慌てて座りなおす。
正面に正座したチップ。
の、顎に軽く手を添えて、触れるだけの口付け。
高望みな期待してはいなかったが・・・
どうやら今日は“良い”日だったらしい。
闇慈の腕に身を委ね、嫌がる様子もなく露となった体。
首元に強く寄ると鼻にかかる甘い声。
絹の肌というより、新鮮な肉。
筋肉の張りへ指を滑らせると脂がしっとりと浮き出てくるような、艶のあるチップの肉体を掌の触覚で感じ、
舌で味覚も味わう。
食欲と性欲、本能の二大欲求。
小さな声を出し、ピクリと反応するその様も聴覚に良い。
次はいつ、“こう”出来るだろう?
「・・・なあ?」
「・・・・・・・・ん?」
いつもは途中で声をかけない闇慈に、もたれる様にして下から顔を見上げる。
熱に浮かされながらも、きょとんとした幼い表情に堪らず深い口付けを落した。
「・・・・・・・・・・薬・・・使っていいか?」
「・・・薬?」
怪訝に眉を寄せた顔を慰めるように撫ぜる。
「後遺症もない、習慣性もない、媚薬・・・・・・“芯”・・・もっと熱くしてやるよ・・・」
太ももに置いた手を上げていくと、頬を染め、声が出ないようにか唇を強く結ぶ。
ここまで来てそんな反応されたら、もう止まらない。
荷物に手を伸ばし、小さな小瓶を取り出す。
見せ付けるように目の前で、トロリと中の液体を平に垂らす。
ああ・・・分かる。
触れる肌から、快感が欲しくて、もうゾクゾクしてる。
「・・・淫れよ・・・」
必死に声を抑えようとするチップを、無理に引き寄せて最奥を付く。
漏れた甘い声に、激しく腰を揺らせば、やめてと懇願する。
嘘つきと吐いて、擦って快楽を送ってやる。
体を痙攣させ、また必死に耐える。
それに俺はより興奮する。
もっと、
もっと・・・・
狂乱の宴とはこういう事を言うのだろうか?
朝一から引いてしまうほどの有様。
欲望の果ての姿のまま。
体のあちらこちらの“内”が痛い。
まだ起きる気配のないチップの目元は腫れてる気もする。
頭も痛い。
どちらが先にオチた?
記憶の片隅で動かなくなったチップに執拗に縋り付いていた自分がいた気もする。
あれは夢だったのか?
無防備なバサバサの髪を撫ぜて直してやる。
少し
口元が笑った。
「・・・いつもこんな顔してりゃ良いのに・・・」
このまま起きるまで横で寝顔を見ていたと知ったらどうするだろう?
アレが淫薬でなくただの椿油だと知ったらどんな怒り方をするだろう?
一度興味が出たら追求してしまう性分。
まだまだ知りたい事がある。
ただ
それだけ。
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パッと見た時、普通?の方にアンチプないな…じゃあ。で。でも、本心、女体化でしたかった。胸ないの楽しくない・・・
なぜかしらアンジは旅館に泊まってるイメージがある。誰が作って営業して価値求めるのかむしろその知識はどこから?畳生産者誰よ?になって思考破綻するけどあまり深い事は忘れ去る事にした。・・・・梅喧さん畳屋してた動画あったな・・・