約束の日



いきなり舐められ、体が大げさに跳ねた。

何事かとチップの顔を見ると、じっと紅い瞳が見つめたまま、また胡坐を掻いたポチョムキンの肩へ舌を這わす。
「・・・・なんだ・・・?」
「コレ、消えねぇーの?」

『コレ』と言われて改めて自分の肩を見る。
傷や異変はない。よく見慣れた筋肉と『コード』。

その上を指で擦りながら、首を傾ける。
「コレ、あるヤツとないヤツって何が違うんだ?」
「昔の・・・・奴隷のコードナンバーだ。今の軍には“普通”に兵士なった者がいる。」
「ふ〜ん・・・・」
気のない返事で、いまだバーコードを一本一本指で撫ぜている。
「俺の番号はないのか?」
「んん・・・・・・・・ないか・・・な?」

軍所属登録はしたが、ツェップへの市民登録はまだのはず。


「じゃあ、『コレ』くれよ。」
「は?」
「昔のだろ?くれ。よこせ。」

相変わらず率直過ぎて。

面倒なこの性格には最近慣れた。
譲渡や交換など出来ないといっても納得しないだろう。


このコードはそのまま今の私の存在認識コードだ。
同じコードが二人存在すれば、意味がない。



「・・・・・」

答えを待っているチップの腰を持ち誘導すると、簡単に胡坐の上へ仰向けに寝る。
「『コレ』は私のものだ。やれん。」
「ケチ。」
「今後も私と一緒ならば、共有してやろう。」

体をダラりとさせて、唸りだす。
首も左右にウダウダし葛藤しているようだ。


楽しい。

このコードを与えられた時、こんな日が来るなどとは思わなかった。
初めて対峙した時、こんなにも近づけるとは思わなかった。

終焉の時・・・・



も、きっと思うだろう。


「あんまり今と変わらねーか・・・OK。それでいいや。」
「では、ちゃんと暗唱できるように覚えなさい。」

「・・・・・・・お前ずっと服着るな。」




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あんまりちゃんと書いてないから場所も時期も、事後か女体化もなんだって対応・妄想できるよ!親切なのか無責任かは存じない。
資料集見ながら、ポチョのコードナンバーのバーコードをレジでピッとしたら何円だ?と思ったのが切欠。小説書いた後、バーコードの仕組み・法則って何?の疑問が起こり「文明スゲー!後コレはどうなってんの?」と調べてたら、書いた事さえスッパリ忘れて3ヶ月熟成してたという…

オーダー、無責任で。