確の言葉





「あん。もう・・・疲れるねぇ〜」
アクセルは武器を無碍に手放すとドッサリと座り込んだ。
“跳んだ”と思ったら、見事に人の頭の上に出て、怒りに任せて切りかかってきたソイツを謝りながら撃退してしまった。


「んん・・・」

気付いたようで、唸りながらゴロリとうつ伏せになった。
刃を当てないようにしたが、鋭い追撃につい本気で鎖部分で首を縛って思い切り地に叩き付けた。
そうしないと止まりそうになかったから。

「大丈夫?骨とか折れてなーい?」


アクセルノの声に気付き、紅い視線を向けるとズリズリと腕で這ってくる。

殺気がなかったせいで、なにすんだろ?という好奇心で見守っていると、俺の太ももに手をかける距離まで来た。
いや、かけた。

「アンタ・・・日本人?」

唐突な質問に、まだ幼げな印象のある顔を見つめてしまった。

「いやいやいや。どう見たって違うでしょ?」
ユニオンジャックのTシャツと金色の長い髪を摘んで見せる。
「・・・なんだ・・・日本語に聞こえたのに・・・」
「ああ。技はね。受け入りみたいなモンで、日本語の意味は分かんナイ。」

少し傷をつけてしまった白い頬を親指で触る。
「おにーちゃんは日本人?」
「え!?そう、見える!?」
「全然」

ぱっと明るくなった顔が、一気に先ほどよりもグッタリと倒れこんだ。

「ゴメン、ゴメン!」
銀色の頭をぐしゃぐしゃと撫ぜる。

「いや、ね?なんかって言ったじゃん?こんな髪の色とかお目目赤いのとか。」
「・・・言われるけど・・・」

“アルビノ”

あまり良い言葉として自分に使われたことがない。
少し嫌ってる言葉。

「だからさ、“どこでもない”のかなってさ。」
「?“どこでもない”?」

太ももに置いてある手に手を合わした。
「俺、白人だけどさ、それよりおにーちゃんの方が白いでしょ?」

太れない体質の貧相な指。
色はもっと脆弱に見せた。

「だから、なんかってやつで、色落ちちゃってるだけなのかなって思ってさ。」
コリコリと頬を掻く。
「まあ、髪黒くって肌が濃いってだけで、チャイニーズかジャパニーズかの区別も付かないんだけどサ?」


はじめて、馬鹿にされなかった・・・


ぽかんとしてる紅い瞳にニッカリと笑いかけた。
「だって、オレも頑張れば“日本人”になれるもん。」

綺麗なブロンドの青い眼の“外人”。

素直に『どうやって?』と子供のように質問する。
「まあ、“日本人”とはちょっと違うかもしれないケド、元の時代に返って、養子にしてもらったら“籍”は貰えると思うんだ・・・」
「・・・?“籍”?」
「“日本”の所に名前書いてもらえるんだよ。隅っこの方かもしれないケド。」
「“弟子”入りって事か?」
「“婿”入りかな・・・あ〜この時代どうなってるか知らないけど・・・ま、二人の内緒な。」

指一本立てて口元に当てる。頷いた頭をもう一度撫ぜた。

「頑張れば“日本人”になれるんだな。」
「うん。諦めちゃダメだよ。それに、まだまだ強くなれるから。」
目で追いつけないぐらい、速く、強く、しなやかに。
「ゴメンね。痛い事しちゃって。俺行くわ。」

アクセルが立ち上がった為、また地に伏っしていた体を起こし、ぺたりと座った。
ヒラヒラと振られた手に、振り返した自分にビックリしてその手を慌てて隠した。
『変わってないね〜』赤面した顔にへらりと頬が緩んだ。


「また“未来”で会おうネ。」




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無論チプです。修行開始はしてるけど、師匠生きてる頃でもいいと思う。あんまり深くは考えてない。色素ないだけで日本人の血入ってても良いよね?とか。その後無印で会ったけど話し噛合わないで他人の空似だと思ってれば大丈夫と・・・?