銀の鎖




ドラゴン狩りの賞金が入ったソルにたかり、見事酒まで頂いていた闇慈が土産話を聞こうと話題を振ると

「女が・・・いた」

そう呟き、楽しそうに、いや、楽しかったのだろう。
普段寡黙な男が語りだした。




夜の河で水浴びしていた肌は透ける様に白かった。それよりも眼を引いたのは、月の光を受けキラキラと光る銀色の髪。
しっとりと濡れたそのどちらもが引けを取らぬほど凛とした顔立ちが不思議そうに向けられた。

見下ろすソルの視線が自分を吟味していると分かってから、女はそっと胸を押さえ隠した。
「・・・ココがドラゴンが出る山だって知ってんのか?」
数呼吸置いて、眉をひそめた女は頷く。

岩肌をトトットンと跳ねるように、ソルは川岸に降り立った。


「・・・処女か?」
いきなりの質問に女は赤らめ、バシャリとソルに水を投げつけた。
シケたタバコを吐き出し、服も靴も気にする事なく水の中を進み近付いてくる男から逃げることなく、女はじっと、紅い瞳で睨みつける。
「いくらだ?」
「・・・・は?」
「言い値を払ってやる。抱かせろ。」
「なに」

いきなり、ソルは女を引き寄せ口付けた。
抵抗を見せた腕を力でねじ伏せ、顎を持ち無理に開けさせる。


タバコの味で口内を蹂躙された女は、ただソルの腕に体重を預けた。
いや、支えなければ水に落ちそうな程にした軽い体を手放そうとしなかった。


それを無理矢理引きずって行くと乱暴に大きな岩へとほうり投げる。
かろうじて、岩にしがみ付き水没を食い止めた女に寄ると後ろから胸を鷲掴む。
抵抗のため向けた顔をそのまま引き寄せ再び口付ける。
まだ残る熱のせいか、ゆっくりと口を開き、先ほどは追いかけていた舌が今度はちゃんと伸ばされる。
それでも震える小さな舌を、噛み砕くようにキツく吸い上げた。


指が間を弄る。
ビクリと跳ねた体に躊躇することなく、既に流れ落ちそうな其処を、其処だけは優しく。


唇が離れた時、女は呆けていた。
「ヤんぜ。」
「ちょ・・・やめ・・・」

いつも無表情がその時ばかりは驚きに眼を見開いた。

抵抗がうっとおしいので完全にオトす様にした。はずだったのに。

「・・・俺は滾ってる。疼くだろ?分かるな?」

真っ赤な顔が静かに俯いた。
細いがしっかりした腰に手をかけると、後ろから少し強引に突き入れる。
締りの良さに舌打ちしそうだったが、女の自尊心を傷付けるので止める。
無理に声を殺し、喘ごうとはしなかった。
動き出すと漏れる甘い声。

それが聞きたい。
それを聞く為、激しく、それでも壊さぬように・・・




「・・・俺相手に3回も持ちやがった・・・」

アンタの1回は何時間なんだと無粋な考えが及ぶが黙って聞く。

しかしながら・・・・聞くごとに・・・・人物像が合ってくる・・・


「・・・で、“金はいらねぇ”、“次ぎ会ったら殺す”って、良い眼で睨んできやがった・・・」
「もしかして、胸はこれぐらい?」
闇慈が指を広げず、上下さした手で膨らみを描く。
ソルは感触を思い出しながら自分の両手で掴んだ形を作り出し、同じ様な手つきをしている事を確認してから
『それぐらいだな』と、呟く。

闇慈は「たぱー」と酒を吐きそうだった。


「もしかして、もしかして。それチップじゃないの?」
「?・・・チップ?」

視線が泳ぎ、上空で止まる。

指差すのは失礼なため、まあ十分失礼なのだがビシリと扇でソルを指した。
「そう、今思い出したそれと女、比べてみ?」
「・・・あのガキと・・・・」

ふむ、と考え出す。

「・・・着痩せするのか・・・」
「相当に。」

「あの筋肉は実戦用か・・・同じドラゴンハントと思っていた・・・・」
「いや、狩り人(と)でもアンタに喧嘩売る女なんて早々いないから・・・」

合点がいったのかうんうんと頷き、ソルは喉で笑う。

「・・・・・・・次が楽しみだ・・・・」

可哀想に。
他人事ながら、彼女の身を案じることしか出来なかった。




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何故か私のソルのイメージは悪いらしい。チプは押しに弱いらしい。闇慈と仲良さげなのは都合上。注: 文字用の領域がありません!